〈制度の概要〉
法人が短期所有に係る土地の譲渡等(所有期間が5年以下である土地の譲渡等)につき、譲渡収入から、取得価額及びその譲渡のために直接又は間接に要した経費の額を控除した金額(譲渡利益金額)に対し通常の法人税とは別に10%の税率による追加課税が行われる(措法63)。
適用対象となる土地の譲渡等の範囲については、適格現物出資又は適格現物分配による土地等の移転は除かれ、適格分割又は適格合併に該当しない分割又は合併による土地等の移転は含まれる(措法63②一)。
譲渡利益金額の計算及び短期所有土地等の判定について、適格合併等による土地等の移転があった場合には、土地等の取得日を引き継ぐ(措令38の4○38、38の5○24)。
ただし、法人が平成10年1月1日から令和5年3月31日までの間にした土地の譲渡等については適用しない(措法63⑧)。
〈特例の対象となる譲渡又は資産〉
課税の対象は、短期所有に係る土地の譲渡等であり、短期所有に係る土地の譲渡等とは、一般の土地等の特別課税の対象となる土地の譲渡等のうち次のものをいう(措法63②一、措令38の5①)。
- (1) 土地等の譲渡
他の者から取得した国内にある土地等で短期所有土地等(法人がその取得をした日から引き続き所有していた土地等で所有期間(その取得をした日の翌日から当該土地の譲渡をした日の属する年の1月1日までの所有期間)が5年以下であるもの(以下この特例において同じ。))に該当するものの譲渡 - (2) 合併等
短期所有土地等に該当するものについて行う合併(適格合併を除く。)又は分割(適格分割を除く。)による土地等の移転 - (3) 賃借権の設定等
短期所有土地等に該当するものについて行う地上権又は賃借権の設定その他契約により他人に土地を長期間使用させる行為で、その設定等により地価が原則として2分の1以下に低下し、その土地の帳簿価額の減額が認められるようなもの(措令38の5①一)。 - (4) 仲介行為
土地等の売買又は交換の代理又は媒介に関し報酬を受ける行為で、宅地建物取引業法に規定する仲介報酬の限度額を超える仲介報酬を受ける行為(措令38の5①一)。 - (5) 株式等の譲渡
その有する資産が主として土地等である法人の発行する株式等又はその信託財産に属する資産が主として土地等である特定信託の受益権の譲渡(適格現物出資、適格現物分配又は適格株式分配による移転を除き、合併(適格合併を除く。)又は分割(適格分割を除く。)による移転を含む。)で、短期所有土地等の譲渡に類するもの(措令38の5①二)。
ただし、優良な住宅の供給等に資する土地等の譲渡で、価格が適正であること等の要件を満たすもののほか、土地等の贈与による譲渡で、国等に対する寄附金又は指定寄附金に該当するものについては、この制度は適用されない(措法63①③)。
〈所得金額及び法人税額の計算〉
特別課税による税額は、次により求める。
短期所有に係る土地の譲渡等に係る譲渡利益金額の合計額×10%
- (一) 短期所有に係る土地の譲渡等に係る譲渡利益金額の計算は、一般の土地等の特別課税における譲渡利益金額の計算に準じて行う(措法63②二、措令38の5③④)。
ただし、譲渡利益金額の減算及び加算(措法62の3⑩)については、特定資産の買換え等の場合の圧縮記帳(措法65の7~65の9)の適用は受けられない(措法63④)。 - (二) 他の制度との調整等は、一般の土地等の特別課税の場合に準じて行う(措法63⑤、措令38の5○26)。